軸編集部

逆井和夫
蒼茫の天にまぎれる冬木の芽
寒晒しして一村の和紙の澄み
時雨るるや休む間も杖に力溜め
吉田季生
冴返る新駅前という荒野
朧夜の知恵めぐらせし魔法陣
シェパードの着地しなやか水温む

樽谷俊彦

卑弥呼にも体臭あらむ蓮ひらく
木枯やわたしが魚であったころ
渦の中からメロディーが新キャベツ

荒木洋子
母はいませず生国の土用波
浮世絵に朱が飛んでおり鰯雲
黒潮のそばへ時雨てはしぐれては

木之下みゆき
うしろから風ぼうたんを抱きに来る
式部の実百の微罪をひた隠す
青い鳥探しにバレンタインデー

編集長

中村武男
雛飾り了えたる両手膝に置く
てのひらに載る悴んだ松の鉢
万緑や影と無縁のブーメラン